自衛消防隊とは、防火対象物およびその存する敷地等において、火災、地震その他の災害等による人的または物的な被害を最小限に止めるために、防火対象物において編成された組織である。事業所が複数ある防火対象物においては、事業所ごとの自衛消防隊の組織である事業所自衛消防隊と、この事業所自衛消防隊を地区隊とする防火対象物全体にわたる自衛消防隊の組織である防火対象物自衛消防隊を編成する。
火災はある時期を過ぎると拡大スピードが急激に速まる。消防署の到着が遅くなればなるほど、延焼面積は拡大していく。初期消火の限界を考えると、自らを守るには、自社社員で対応できる火災レベル時に、素早く、消火活動を含む自衛消防組織がその役割を果たすことになる。社員を守るため、会社を守るため、あるいはお客さまを守るために、自衛消防隊は組織編成され、訓練する。消防隊長、初期消火班、通報連絡班、避難誘導班、応急救護班、非常持出班、各役割について十分に理解し納得を得てから編成すべきである。防火管理の推進役である防火管理者は、まず自分自身で理解し、納得して、管理権原者である社長や事業所長に、同様の認識を持ってもらう。そして、全社あるいは事業所において、全員で取り組むべき重要な業務であるという共感を得る必要がある。
一方、ハイブリッドワークが定着してきた、自衛消防隊を担う総務部員が会社に不在、という事態も生じてくる。総務以外の各部署に初期消火班、通報連絡班等を割り当てておき、災害が発生した際は、そのときに出社している部署のメンバーが割り当てられた役割を担うという体制を取っている会社もある。総務部門も在宅勤務をする昨今、自衛消防隊の在り方を考える時代となっている。
(執筆:『月刊総務』)