オフィスの引越:レイアウト図面

最終更新日:2010年03月16日

オフィスの引越:目次

オフィスの移転・レイアウト変更では、規模の大小に関わらず、必ず図面が必要となる。既存什器の移動先、新規什器の設置先等々正確に確定し、関係業者に伝達する。関係業者はナンバリングされた、それらの旧レイアウト図面や新レイアウト図面を基に、什器を移動設置する。不正確な図面だと、引越当日に大混乱が生じてしまう。電源工事や電話工事、その他組立や解体を要する工事が発生する場合も、それぞれ電源図面、旧電話図面や新電話図面、旧端末図面や新端末図面、組立・解体図面を作成し、それを基に施工業者に指示を与える。図面を作成する段階では色々な問題点が判明することもあり、また、レイアウトを確定する際、関係する部署の調整に多大の時間がかかる場合があるので、早めに図面の作成に着手することが大変重要である。

●図面の作成

各図面はどれも関連があり、単独で完成するものは旧レイアウト図面ぐらいで、残りの図面は新旧レイアウト図面をもとに作成していくことになる。これら各「旧」図面と、移転後のオフィス条件と新レイアウトの設計要件を加味して、各「新」図面を作成する。新レイアウト図面の完成は移転日直前までかかるかもしれないが、什器を新規購入する場合は、納期の問題もあるのでそれに間に合う時期までに図面を確定し、什器を選定する必要がある。この図面が完成されれば、必然的にパーテーション・間仕切り組立て図面は完成となる。いずれにせよ、旧図面と違い新図面の場合は、移転対象部署や関係業者等相手があるものであり、かつ、この図面をもって手配や施行がおこなわれるので、その納期を確実に把握して早め早めに作成を進めていくことが非常に大事である。

●新レイアウト図面

移転後またはレイアウト変更後のレイアウト状態を示した図面のことである。移転作業や各種の設備工事の基本となる図面であり、これをもって、搬入及び納品時の設置場所の指示を行なう。また、全ての「新」図面の基本となるものである。この図面の完成時期は、実際のところ各部門の調整が完了して始めて確定するものであり、最終確定したものは移転日間近となることが予想される。但し、その他の各新図面との関連で言うと、その時期まで待っていることは、各工事の工程から見て、とても待てるタイミングではない。よって、ゾーニングを含め比較的早期に確定できるところから順に確定し、作成していくことが必要である。

●旧レイアウト図面

現状把握と移転元の図面であり、これをもって搬出時の指示を行なう。また、全ての「旧」図面の基本となるものである。現状調査をすることにより旧レイアウト図面を作成していく。現状調査はプロジェクトを立ち上げてすぐの、まだ比較的余裕のある頃に漏れの無いように行なう。図面に反映させるものは什器やコピーFAX等のOA機器や端末、家電製品等、多少なりともスペースを考慮する必要があるものなら全て。また、全図面共通事項として、縮尺は1/100。表記ルールは統一しておき、関係業者が理解できるものにする。この図面とともに、管理台帳も作成しておき、その中で引越後に流用するもの廃棄するものの区別も記す。この図面をもとに、旧電話、旧端末図面、必要に応じてパーテーション・間仕切り解体図面が作成される。この各「旧」図面は現状把握のためと、その現状把握から利用状況や各部門の業務特性や特殊要件を確認する意味でも必要である。

●電源図面

移転後またはレイアウト変更後のコンセントの場所や口数、電源回路を示したもの。これをもってOA機器や端末、プリンター等の機器を配置していく。新図面を必要とする業者の順番からすると、まず電源図面。これはコンセントの設置や電源回路の工事のために、早期に提出する必要がある。だいたい引越日の3週間前になるが、納期については施行業者に確認する。OAフロアで、事前に数個のコンセントを床にばらまいておくのであれば、そのフロアにどのような機器をいくつ、およそどこに設置するかが分かれば良いが、床や壁にコンセントを固定する場合は、かなり正確な場所の指定が必要。旧レイアウト図面を作成する際に、電気機器につき、その電気容量も合せて把握しておき、電源図面を作成する時のデータとする。但し、指示どおりに実際に設置されなくても、延長コードで対応することはできるが、OAフロアでないと、コードが剥き出しになり見た目は悪くなる。

●新電話図面

移転後またはレイアウト変更後の状態での電話子機の設置場所と各電話の外線と内線番号を示したもの。これをもって、子機設置工事、電話回線工事や内線工事、グループ設定の検討、その指示を行なう。この図面に関して、電話工事は自営工事なので新築の場合は建物の引渡後までに完成していれば問題はない。レイアウト変更の場合だと、2-3週間前には必要となる。ただ、電話工事の金額は規模によりかなり高額になるので事前の決裁が必要になってくる。その場合、正確な見積もりが必要なのであれば、それに伴って新電話図面もある程度完成されなければならなくなる。おおよその机の配置が決まればある程度の見積もりはできるはずである。この新電話図面を基にして、内線番号の割り振り、ピックアップや代表着信を決めていく。

●旧電話図面

現状の子機設置場所、内線、外線番号、グルーピングの状態を示したもの。新電話図面を作成するため現状把握をするのに必要となる。特に、各レイアウト等の代表組みやピックアップ体制など、移転・レイアウト変更後も同様の体制とするのであれば、正確にこの図面に記しておく。新電話図面作成時の資料となる。

●新端末図面

移転後またはレイアウト変更後の状態での端末やプリンターの設置場所を示したもの。これをもって、システム回線工事の指示を行なう。端末も通信用として電話配線を必要とするので、その情報は新電話図面にも反映させる。端末、プリンター、サーバーの設置場所をこの図面に示していく。さらに、ホストコンピューターやプリンターの設置場所により、電源図面も影響が出てくることとなる。出来れば、電源、電話、端末図面についてはその関連を考慮しつつ、同時に作成して漏れの無いように作成する必要がある。

●旧端末図面

現状の端末やプリンターの設置状態を示したもの。端末の回線との接続を外す指示や新端末図面を作成するための現状把握をするのに必要。

●組立・解体図面

組立図面は、移転後またはレイアウト変更後に設置するパーテーション・間仕切りの設置場所、その他に、連結什器での必要な連結箇所を示し、これにより施行業者に組立、連結指示を行なうものである。一方、解体図面は、現在設置してあるパーテーション・間仕切りの設置場所を示し、これにより施行業者に解体の指示を行なうものである。

●ナンバリング

ナンバリングとは旧レイアウト図面と新レイアウト図面を結びつけるものであり、移動させる物品を旧図面(移動元)から新図面(移動先)のどこに運ぶべきかを、各物品に番号を振ることにより示すものである。搬入業者はこの番号を頼りに物品を配置していく。新レイアウト図面が完成された段階で、物品の種類ごとに番号を変えて振っていく。机は100番台、キャビネは200番台等。新レイアウト図面に番号を振り、それを基に旧レイアウト図面に、該当する物品に同一の番号を振っていく。よって、新レイアウト図面は番号が整然と並ぶ状態だが、旧レイアウト図面は飛び飛びで番号がふられる状態である。ナンバリングは引越1週間前に完成していれば良い。作成する段階で引越業者と表記上のルールを確認する。引越規模が大きいとそれだけナンバリングする物品も多くなる。重複や振り忘れなどが発生する可能性が大きいので、十分注意して行なうことが重要である。

(執筆:『月刊総務』)

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