金会社には、職務を通じて「組織に所属している」感覚とホームとして「ケアをされている」感覚、2つの安心を従業員に与えることが求められます。在宅やシェアオフィスなど働く場所が増える中、安心が担保されていなければ、もう誰も好んでオフィスに来てくれません。
いま一度、ウェルビーイングの項目を一つひとつ洗い出して取り組むタイミングだと思います。御社では社会にどのような価値を提供されているのでしょうか。
吹原130年前に創業者である久保田権四郎が重んじた価値観と同じものを提供したいと考えています。「For Earth,For Life」というクボタのブランドステートメントは、食料・水・環境分野で貢献したいという思いからです。
金クボタさんというと、農業機械のイメージが強かったのですが、実は水の事業にも力を入れていらっしゃるそうですね。
吹原そうなのです。あまり知られていないのですが、明治期に日本が伝染病コレラに苦しめられていたとき、国産初の水道管を作り出したのがクボタでした。以来、日本のみならず世界中で水環境問題に取り組んでいます。
水の技術で社会に貢献してきたクボタだからできることを模索し、「水で空気を洗う」機器でさまざまなコミュニケーション空間の「安心・快適」を実現すべく開発したのが「ピュアウォッシャー」です。
金ウイルス対策として、今まさに除菌が注目されていますね。
吹原われわれは精密機器工場などのクリーンルームで使用される業務用空調機のメーカーとしても、およそ50年の歴史を持っています。そこで培われたエアワッシャ技術を採用しました。
ピュアウォッシャーには、「除菌」「消臭」「加湿」「空気清浄」「電解水取り出し」という5つの機能があります。取り込んだ空気にミスト状の水を噴射し、浮遊ウイルスや浮遊菌を除去(除菌)、きれいな空気として戻します。ウイルス対策だけでなく、ニオイの抑制や花粉など不快感の原因になる不純物も取り除きます。
金先ほど拝見しましたが、大きな会議室にあれ1台でしたね(画像❶)。
吹原はい。特徴として、テニスコート1面分(約200㎡)の空間を1台で清浄化します。これまで複数台の空気清浄機を置いていた空間を、これ1台でカバーできるようにしました。
もう一つこだわったのが、可能な限り手間を省くことです。給排水接続式で自動給排水するため、タンク内の水を取り換える必要もありませんし、運転時間は曜日ごとにタイマー設定できることから、オンオフ操作の必要もありません。また、定期的に当社側でメンテナンスも行いますので、手入れも不要です。
金操作音が標準モードで55デシベル、これは人の集まるコミュニケーションスペースなら気にならないレベルですね。
吹原設置時に水道工事費等が必要となりますが、製品使用にあたっての手間、つまり人件費が不要であると思えば、初期投資はすぐに回収いただけるかと思います。ただし、総務にとっては、この工事が社内検討のハードルになることでしょう。しかし、それで導入をあきらめることになるのは残念なので、ピュアウォッシャーを評価してくださる総務の方々をサポートしようと、費用対効果や他社製品との比較など稟議(りんぎ)書用の資料もこちらで作成しました。
金総務ご出身ならではですね(笑)。しかし今はもっと導入のハードルが下がっていると思いますよ。なぜなら、今後はオフィス縮小などで企業の不動産コストが下がっていくからです。フロアが半分になるだけで年間数十億円の削減になるケースもあり、その浮いた資金を従業員の福利厚生、ウェルビーイングに還元しやすい状況なのです。
また、この空気清浄機は非常に理にかなっています。縮小されたオフィスのレイアウトは、中心にコミュニケーションスペースを集め、窓際に個々が集中できるスペースを作る、同心円の発想がメインになります。建物の中心部にはもともと給排水設備がありますから、設置も問題ないでしょう。総合的なビジョンをきちんと持っている総務であれば、オフィスの大改革とセットで上の人たちを説得できると思います。
吹原企業の財産は人ですから、その人々に寄り添う総務部門の影響は多大です。総務のみなさんの期待に応えられるよう、創業者のDNAを時代に合わせて一層ステップアップさせていければと考えています。
金従業員のため、どこにお金をかけるのか。総務の財布もニューノーマルに合わせて変わっていきます。人材獲得の戦略にもつながりますので、ぜひともやりくり上手になっていただきたいですね。
ピュアウォッシャーは、1台で大空間を除菌・消臭・加湿・空気清浄(除塵)ができる業務用加湿空気清浄機。2016年の発売以降、医療施設や保育園、大型施設などで採用され、2020年10月現在、設置台数は約1,000台にのぼる。